1.地区概要

団体名   : 宮城県角田市 角田隈東土地改良区
地区名   : 枝野地区
事業名等 : 経営体育成基盤整備事業
工   期 : 平成10年度〜平成20年度
主要工事 : 区画整理工 211.4ha、集落道路 2路線、農村公園 1ヶ所

2.活動の概要

枝野地区においては、角田市農業振興公社が行う農地保有合理化事業を活用し、一度、角田市農業振興公社へ全て貸付け、栽培者等に再配分を行う、「一括利用権設定(村ぐるみ手法)」を選択しています。集落毎に6つのアグリセンタ−を設立、上部組織としてアグリセンタ−連絡協議会を組織し、土地利用計画を立て、186haの農地を一括利用権設定を実施しています。ほ場整備を契機に、個別農家14戸、生産法人1、生産組織1が担い手として育成されている。
この手法により、地域の土地利用調整を一元化することにより、ほ場の7割を担い手農家及び生産法人等に集積し、団地化したほ場での大型機械導入による機械経費の節減や集団転作が可能になり、安定した生産が行われている。また、アグリセンタ−を中心に、将来の担い手不足や耕作放棄地の増加等の課題に地域を挙げて取り組んでおり、土地利用型農業の先進的優良地区となっている。その波及効果は、周辺地域だけでなく、全県に拡がっている。

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【概要図】


 

3.受益地区における農家及び担い手の状況など

(1)受益地区における農家数の状況
区  分
事業実施前
現  在
 総農家数   385戸(  14戸)  298戸(  14戸)
 うち専業農家数  34戸(   12戸)
 29戸(  12戸)
 うち兼業農家数   351戸(     2戸)   269戸(    2戸)
 認定農業者
 10人  14人
 生産組織等(法人含む)   0組織   2組織
                          ※( )は、担い手農家数
            
(2)農用地の流動化状況
項   目
事業実施前
現  在
目  標
 受益面積  221.7ha
 211.4ha  ―
 担い手等の利用集積面積  36.8ha  136.1ha 
 148.0ha
   @利用権設定面積  14.3ha 
 68.9ha  90.0ha
   A受託面積  
 0 ha  
 65.6ha   58.0ha

4.農業経営状況について

区分
 
作物名
 事業実施前  現     在
 労働時間 反 収
生産費
労働時間
反 収
生産費
 水  稲  58hr/10a  534kg   169,615円  11hr/10a  550kg   71,576円
 大  豆  5hr/10a  122kg  47,796円
 大  麦  ―  ―  ―  4hr/10a  346kg  37,866円

区分

作物名
 作  付  面  積  の  推  移
 事業実施前 現    在
目    標
 水   稲  169.5 ha(36.8ha)  119.9 ha(60.3ha)
 139.7 ha(93.4ha)
 大豆(水田)
    0   ha(  ha)
  65.2 ha(65.2ha)
37.8 ha(37.8ha)
 大麦(水田)   0   ha(  ha)  11.8 ha(10.6ha) 
16.8 ha(16.8ha)
 調整水田  31.3  ha (    ha)   0   ha (    ha)   0   ha (    ha)
 大豆(畑)
  9.0  ha (    ha)   9.0  ha (    ha)   9.0  ha (    ha)
 大麦(畑) 
 5.5  ha (    ha)  2.3 ha (    ha)
 2.3 ha (    ha)
 ブロッコリー(畑)   0.7  ha (    ha)
  2.0 ha (    ha)   2.0 ha (    ha)
 キャベツ(畑)  0  ha (    ha)  1.5 ha (    ha)  1.5 ha (    ha)
 その他(畑)  5.7 ha (    ha) 
 ―  ―
 土地利用率  85.9 %  100  %  100  %
※( )は、担い手農家等の作付面積

5.営農推進の状況について

(1)栽培技術関係
枝野地区では、JAみやぎ仙南角田市ふるさと安心米生産組合協議会の元で、各地区にふるさと安心米生産組合を組織し特別栽培米(名称:ふるさと安心米)を作付けし、産直事業を行っている。
同協議会は「生産者と消費者が一緒に米づくりを行うこと」を理念としており、栽培基準を消費者、販売先等と協力して作成し、共同体制による土づくりやできるだけ農薬や化学肥料を削減した栽培を行う生産者の安全と環境に配慮した栽培に取り組んでいる。設立以来行っているみやぎ生協や首都圏のスーパー(サミットストア)との産直事業で契約栽培を行っている。また、生産者と消費者の交流や産地見学会を開催し、お互いの信頼関係を築き合っている。
平成18年6月には、構成員がエコファーマーの認証を取得した。認証取得に当たっては、既に高レベルで農薬や化学肥料を削減した栽培を実践していたため、種子消毒時に微生物資材を導入するなど認証を取得することができた。平成18年には、同協議会の生産活動や消費者との交流活動が認められ、平成18年度第4回 「オリザ賞」(宮城県農協中央会主催、河北新報社、東北放送共催)の大賞に選定された。

(2)転作関係の状況
@整備後の転作の状況(現況)
  • 転作面積 77.0ha(事業実施前の転作面積 0.0 ha)
A転作作物名と作付面積
  • 作物名: 大豆(65.2ha),大麦(11.8ha)
B新規作物の導入状況
  • 作物名: キャベツ(1.4ha)
C転作や新規作物の導入にあたって、特にPRすること
  • 枝野地区アグリセンタ−にて3年毎に意向調査し土地利用計画を立て、水稲作付地と集団転作地の変更を行い、農地の集団化と共に連作障害の回避を実践。

(3)農産物の加工、流通、販売などに向けた取り組み
  • 集団転作で収穫された大豆は、JAみやぎ仙南納豆センタ−で加工され、県内の生協に出荷されるなど、地産地消に取り組んでいる。
  • Green5えだの生産組合では、地区内の余剰労力を活用した「おでってクラブ」を組織し、転作や軽作業の補助員として雇用、地域内の女性等を雇用した直売所を開設している。
  • 農業生産法人耕人ファ−ム角田は、遊休農地となっていた畑を活用し菜の花を栽培し、菜種を絞り菜の花油の産地化に取り組んでいる。また、畑地の有効活用としてキャベツの契約栽培に取り組んでいる。

6.環境に配慮した取り組み

  • ふるさと安心米生産組合にて、栽培基準を消費者・販売先などと協力して作成し、共同体制による土づくりや出来るだけ農薬や化学肥料を削減した栽培を行う生産者の安全と環境に配慮した栽培に取り組んでいる。
  • 地区内の4地区が農地・水・環境保全向上対策に対応して環境保全活動を実施している。また、その中の3地区が環境に配慮した営農部分にも取り組んでいる。

7.その他事業実施の効果による新たな取り組み

(1)余剰労働力の活用方法について
 Green5えだの生産組合では、地区内の余剰労働力を活用した「おでってクラブ」を組織し、転作や軽作業の補助員として雇用している。また、地域内の女性等を雇用した直売所(旬の里 たんぽぽ)を開設している。
          
(2)新たな雇用の場の創出
  担い手農家4名が集団転作で収穫した大豆を加工し、自家製みそ作りを行い出荷している。
  農業生産法人耕人ファーム角田では、遊休農地となっていた畑を活用し菜の花を栽培し、菜種を絞り菜の花油の産地化に取り組んでいる。

8.枝野地区の苦労と工夫した点

(1)土地改良区の苦労と工夫
農業経営高度化支援事業の事業主体である角田隈東土地改良区は、農地保有合理化事業に伴う一括利用権設定の考え方を理解してもらうまでに非常に長い時間を費やした。県内でも200ha規模の一括利用権設定の取り組み事例はなく、農地保有合理化法人へ農地を貸すことについて組合員へ理解を得るため60回以上の集落説明会を実施した。
県主導により、関係機関によるプロジェクトチームを立ち上げ事務処理及び契約問題、地権者への対応について解決策を練ってきた。
枝野地区アグリセンターの運営内容についての検討は、県、市公社、改良区等で数え切れないほどの打合せを行い、意見が食い違うこともあったが、結果的には十分議論されたことで双方納得する活動が展開されている。
枝野地区アグリセンターの設立・運営が開始されてからは、意向調査及び土地利用調整計画作成の際の事務的支援を行っているが、基本的にはアグリセンターの自主的運営を促すため、過度な指導や直接的な支援はしないようにしている。
県は枝野地区アグリセンターが評価される機会の提供,国・県の事業を活用するための支援を中心に行っている。地域で活動している際に、外部から評価されることと、外部からのアドバイスは、地域活動を実践している人達にとって最も重要なことであると考えている。

(2) 枝野地区アグリセンターの苦労と工夫
枝野地区アグリセンタ−においても、設立以前から課題が多くあり、組合員全員に一括利用権設定及びアグリセンタ−活動の趣旨を理解して貰うことが課題だった。しかし、時間をかけて説明会や活動を重ねるうちに、アグリセンター活動の方向性がまとまって、185haを超える契約を結ぶことができた。そして、一括利用権設定を始めてからは様々な新たな課題が生じているが、活動を続ける中で克服している。これからも新たな課題が生じ、それを克服していくことの繰り返しで、アグリセンター役員が自信をもって土地利用調整に取り組み地域農業の発展を担っていくものと期待される。

9.周辺地域への波及効果及び将来の展望

枝野地区の一括利用権設定による土地利用調整を模範として管内の他地区にも、一括利用権設定を行う動きがある。
 農村の少子高齢化社会に備え、次世代の担い手となる後継者が就農しやすい土地条件を揃えられる様、アグリセンター組織による一括利用権設定(土地利用調整)を継続していきたい。